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    かけはし2021年4月12日号

老朽原発動かすな!


3.20


高浜・美浜原発を廃炉へ

関電は再稼働断念せよ

60年運転などとんでもない




 【大阪】老朽原発うごかすな!実行委員会主催の現地全国集会が3月20日、若狭の高浜町文化会館で開かれた。
 前段で、老朽原発高浜1・2号機のある関西電力高浜原子力発電所北門前で、申し入れ行動が開かれた。若狭にある関電の原発は、高浜1号機が運転開始後46年、高浜2号機が45年、美浜3号機が44年という老朽原発であり、国と関電はこれを再稼働させることで60年運転への道を開こうとしている。原子力規制委員会は2016年、これらの原発の40年超え運転を拙速審議で認可した。
 申し入れ行動には再稼働に反対する人々が全国から参加し、中嶌哲演さん・木原莊林さんら代表が、門の外で申し入れを行った。この関電の対応はとても失礼な扱い方である。再稼働準備を中止し、廃炉を決定せよ、原発の即時停止が困難な場合でも、使用済み核燃料の安全な保管地・保管方法を明らかにすること・原発マネー不祥事の原因が十分解明され、対策が取られるまで再稼働するな、コロナの終息が宣言されるまで再稼働するな、などの具体的な事項を申し入れた。

福井県知事と
再稼働の動き


高浜町文化会館での全国集会には400人の参加があった。集会は世戸玉枝さん(原発設置反対小浜市民の会)の司会で始まり、主催者あいさつを中嶌哲演さん(オール福井反原発連絡会議)が行った。杉本福井県知事は2月12日経産大臣・資源エネルギー庁長官・関電社長との4者会談後、それまでの発言を一転させ、県議会に再稼働に向けた議論の開始を要請したが、県議会は知事の急な変節を納得せず、3月12日の予算決算特別委員会で再稼働審議を見送った。中嶌さんは、この緊急事態に対し、県知事と県議会に「再稼働を認めるな」のファックス・電話を集中するように訴えた。
草地妙子さん(40年廃炉訴訟市民の会共同代表)は名古屋で、高浜1・2号機、美浜3号機の延長認可取り消し訴訟をしている。今どれぐらい老朽化が進んでいるかも重要だが、60年運転しても大丈夫かどうかが重要だ。関電はいろいろな試験をして、60年運転しても大丈夫だと試験結果のデータを提出している。「決まりではデータの他データに基づく判断も提出しなければいけないが、規制委員会はどちらかでいいとしている。厳しい検査を避けているとしか思えない。この点を追及していく」と述べた。
井戸謙一弁護士のメッセージが代読された。井戸さんは、大阪地裁行政部が大飯原発3・4号機の設定変更許可処分を取り消したこと・水戸地裁での東海第二原発の運転差し止め判決に触れ、大多数の市民が原発のない社会を望むようになってきたことの証であり、原発の終わりが見えてきたと述べている。
三浦俊一さん(釜ヶ崎日雇い労組)は原発での被曝労働について語り、「老朽原発の配管を調べるとき、鉄道車両などの点検をするときハンマーでコンコンとたたくのと同じようにしていると、管が壊れたらどうするのだと現場の監督者が言うぐらい現場はピリピリしている。一方、原発事故が起きても、原発労働者の避難マニュアルはないのが実態だ」と語った。

福島と東海か
ら連帯の発言


全国からは、2人が発言した。黒田節子さん(原発いらない福島の女たち)は、「福島もやっと春が来て山菜が採れる。しかしこれは食べられない。こんな世の中にしたらおしまいだ。福島の人たちは全国に散らばっているので、ズーム会議をした。皆さん半泣き状態だった。ずーっと我慢してきた。この原発災害については泣いちゃいけない。怒りにしなくちゃいけない。絶望する暇はない」と語り、会場から「そーだ」の声。
披田真一郎さん(東海第二原発の再稼働を止める会)は「関西の方では東海原発はあまり知られていないことがわかった。東海第二原発は日本で4番目の老朽原発だ。この原発は3・11で津波をかぶり、あわやというところで持ちこたえた被災原発だ。これを再稼働させようとしている。8年越しに差し止め訴訟を闘ってきて、昨日勝利した。原発の安全を全体として担保するためには深層防護(新しい規制基準)という考え方で護るんだとしている規制委員会の第1層から第4層までのやり方がだめだとはいえないが、最後の第5層の住民の避難の部分に決定的な欠落がある。判決はそう指摘した。この判決は市民にとってはわかりやすかった。判決は800ページに及ぶ。この結論は、全国の原発に共通する。控訴されたが頑張る」と述べた。
そのほか、全国(福島、青森、東京)からの参加者が登壇し自己紹介した。さらに、福知山・舞鶴・泊・下北・青森・宮城・浜岡・柏崎刈羽・志賀・島根・上関・伊方・玄海・川内からのメッセージが紹介された。

地元住民から
の訴えが続く


最後に、若狭沿岸・京都北部・滋賀県高島市の住民登壇。
登壇した皆さんは、東山幸弘さん(高浜町・ふるさとを守る高浜・おおいの会)、宮崎宗真さん(おおい町・ふるさとを守る高浜・おおいの会)、坂上和代さん(小浜市・原発設置反対小浜市民の会)、石地優さん(若狭町・安全なふる里を大切にする会)、松下照幸さん(美浜町・森と暮らすどんぐり倶楽部)、松永ェ治さん(敦賀市・原子力発電に反対する福井県民会議常任幹事)、藤原節夫さん(宮津市・原発ゼロをめざす宮津・与謝ネットワーク)、是永宙さん(高島市会議員)。 
発言の内容は次のようなもの。
@杉本福井県知事が再稼働の条件としていた使用済み核燃料中間貯蔵施設の県外での候補地を示すこと。期限の昨年12月に関電は示せなかったのに、今年に入ってから急に方針を変え、再稼働容認になった。六ヶ所村中間貯蔵施設を関電も使うということのようだが、むつ市はこれを拒否していること。県知事からの再稼働論議の開始提案に県議会は反対し判断を先送りしたこと。次の議会は6月だが、4月にも県会議員の全員集会を開きたいとの動きが出ている。
A国民の理解が前提で国策に協力していくといわれていたが、国民の理解は得られない。そのことを、立地自治体に伝えてほしい。立地自治体だけでは闘えない。国がはっきりとした態度を示さないので、立地自治体には、将来像が描けないとの不安が根底にある。 B沖縄戦の時、軍とともに行動するなと住民に言った島田知事がいた。杉本知事も県民の命を守るのなら、再稼働しないと言え。
Cおおい町は人口が8200人。原発事故の場合の避難計画はまことに杜撰だ。東海第二原発の水戸地裁判決は避難計画の重要性を指摘したが、そもそも実効性のある避難計画は不可能だ。琵琶湖は高浜・美浜原発から30キロ圏内だが、事故で琵琶湖が汚染されても、1250万人の水瓶である琵琶湖は避難できない。 D原発は配管の塊のようなもの。老朽化した原発の配管検査はどうするのだと質問したが、40年超えの検査マニュアルはなく、納得のいく返答はなかったし実証実験は困難だ。だから、いつか福島のような事故が起きると思う。原子力規制委員会は原発に対する国の定期検査を止め電力会社の一時的な検査に代えた。この規制委員会の姿勢に不信がある。正しい情報を伝えていこう。
労働組合からとして、服部恭子さん(ユニオンネットワーク・京都)、仁尾和彦さん(フォーラム平和・関西ブロック)、五十嵐正夫さん(福井県労連)から発言があった。
最後に、集会決議を採択し、高浜市内のデモ行進に出発した。
(T・T)



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